ガス会社の切り替えを妨げる3の障害【都市ガス自由化】

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ガス会社を乗り換えるのは面倒!


 2017年の都市ガス自由化によって、ガス会社を自由に乗り換えることが出来るようになります。しかし、多くの消費者は乗り換えに消極的になってしまうのではないか、と私は考えています。消費者を後ろ向きにさせる3つの理由を説明します。


安全性への懸念


都市ガス自由化には安全性への懸念がある  先に自由化された電力では、「停電してしまうのではないか」という不安を持つ人が多く、それが乗り換えを妨げる要因の一つとなっていました。
 都市ガスには「ガス漏れ」や「ガス爆発」といった危険なイメージが付きまといます。単にガスが届かなくなって「使えなくなる」という不安感だけでなく、生命の安全に関する不安を覚える人が少なからず出てくるのは間違いないでしょう。もちろん、これまでと変わらない高い安全性を確保出来るような形で制度設計が行われていますが、その点が世間に認知されるまで新ガス会社への切り替えが進むことは無いでしょう。


ガス会社を乗り換えても安全性は変わらないの?

ガスそのものの安全性について

リース契約


ガス機器のリース契約がガス自由化を妨げる  ガス機器やガス警報器などの商品をガス会社(あるいは大手ガス会社の特約店)からリース契約で購入し、毎月のガス料金と一緒にリース料を支払っているご家庭は少なくありません。そうした契約の存在は、間違いなく新ガス会社への切り替えを妨げる大きな障壁となります。


 毎月のガス料金に上乗せされて料金を支払っているということで、支払いが終わるまで他社に切り替えられないと思ってしまう消費者は少なくないでしょう。また、わざわざリース料とガス料金の支払先を別々にするのを面倒だと感じてしまう人もいます。リース契約の存在は、既存ガス会社にとっては顧客を繋ぎ止める強力な武器となるでしょう。


複雑なセット契約


セット契約でガス自由化が複雑になる  月々のガス料金は、全国平均で5千円程度です。電気料金の平均が1万円であることと比べると、半額程度の水準です。元々の金額が小さい分、お得になる幅も必然的に小さくなってしまいます。


 電力自由化の時には「新電力に乗り換えても大して安くならない」という理由で、電力会社を切り替えなかった世帯が多数あります。実際、私は自分の両親が暮らす家や、一人暮らしをしている友人の電気料金をシュミレーションしてあげたところ「これっぽっちしか安くならないなら、今のままでいい」と乗り換えを拒否されました。
 電力自由化で電力会社を切り替えなかった世帯は実に98%ほど(2016年夏時点) 月に千円安くなると言われても動かなかった人たちが、ガス自由化でガス料金が月500円安くなる、と言われて動くはずがありません。


 そこで新ガス会社が何を考えるのかというと、通信や電気など他のサービスと都市ガスとのセット契約による「セット割引」の適用です。ガス料金で消費者に訴求することが出来ないのなら、他のサービスでも値引きをして消費者の関心を引こうとするわけです。


 ですが、セット契約が乱立することで、都市ガス自由化が更に分かりにくいものとなってしまうのは皮肉なことです。ガス料金そのもので訴えかけることも出来ない。セット割引でお得感を演出しても、かえって消費者が離れていく。都市ガス自由化によって、そんな悪循環が起こる可能性は決して低くありません。




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