関電ガスの概要
大阪ガスと激しい競争をしている関西電力。既に100万件を超えるガスの契約を獲得し、大阪ガスの牙城を崩しつつあります。そんな関電ガスの何が良くて何がダメなのか、電力・ガス自由化の専門家として多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。
目次
料金プランの解説
まずは関電ガスの料金プランを、大阪ガスと比較しながら解説します。
大阪ガスとの料金比較
総務省「家計調査」から求めた世帯人数別の平均使用量で大阪ガス「一般料金」と料金を比較します(原料費調整を含めず 原料費調整の推移によっては結果が変わる場合もあります)
お得率と年間節約額 | 1人 月17m3 |
月31m3 |
月39m3 |
月40m3 |
関電ガス ガスのみ |
-7.8% -3481円 |
-8.0% -5594円 |
-8.0% -6701円 |
-8.0% -6839円 |
関電ガス ガス・電気セット |
-10.5% -4719円 |
-10.7% -7530円 |
-10.7% -9020円 |
-10.7% -9206円 |
関電ガス for au |
-10.5% -4719円 |
-10.7% -7530円 |
-10.7% -9020円 |
-10.7% -9206円 |
関電ガス eo割 |
-10.5% -4719円 |
-10.7% -7530円 |
-10.7% -9020円 |
-10.7% -9206円 |
大阪ガスの「一般契約」と比較すると、一般的な使用量では7%以上お得です。使用量が少ない場合でも、割高になることが無い料金設定です。
セット契約プランについては、記事後半で詳しく解説していきます。
びわ湖ブルーエナジーとの比較
関電ガスは「びわ湖ブルーエナジー」(大津市企業局)のエリアにも対応しています。びわ湖ブルーエナジーの「一般契約」との料金比較を行います。
お得率と年間節約額 | 1人 月17m3 |
月31m3 |
月39m3 |
月40m3 |
関電ガス なっトクガス |
-3.4% -1394円 |
-4.0% -2643円 |
-4.3% -3376円 |
-4.3% -3468円 |
関電ガスをガスのみ(電気は別会社or関電の「従量電灯」)で契約した場合の、ポイント還元込みでの試算です。
使用量が少なくても、びわ湖ブルーエナジーよりも安くなります。ただし、現在契約しているのが「一般契約」プランでない場合は、関電ガスの方が割高になる場合もあるのでご注意を。
電気代・ガス代のセット契約での試算は以下の記事で紹介しています。
セット割引
セット割対象サービス | 割引額 |
eo電気 | ガス代が3%引き |
auでんき | ガス代が3%引き |
関電の電気 「なっトクでんき」プラン |
ガス代が3%引き |
いずれも、電気とガスを「セット契約」にすることでガス料金が3%安くなります。
関電の電気とのセット契約については、一般的なプランである「従量電灯」プランとはセット契約にすることは出来ず、専用プランである「なっトクでんき」というプランへの変更手続きが必要です。
セットで契約した場合のガス料金は関電・eo・auともに同額です。電気代がそれぞれ異なりますが、この3社の中では関電の「なっトクでんき」が最も安くなるケースが多いです(一般的な使用量の場合)
供給エリアは?
「関電ガス」公式サイトでの発表によれば、当初の供給エリアは大阪ガスの都市ガス供給エリアとなります。兵庫、大阪、京都、滋賀、和歌山、奈良の各県の一部に都市ガスを供給するとしています。2019年9月からは大津市ガス(びわ湖ブルーエナジー)のエリアにも対応しました。
また、関電の八木社長(当時)は日経新聞(2016年2月17日)のインタビューに対し、「首都圏への進出も検討している」と語っています。自由化開始当初は関西圏のみの参入となりますが、首都圏への参入も考えているようです。
関電ガスのデメリットは?
ガスの安定供給や緊急時の対応といった面では、制度上厳しい制約と手厚い保護があるため、大阪ガスと何ら変わりない水準が期待出来ます。また、法律で定められているガス機器の点検や、故障・修理の対応についても、ガスの取扱経験が豊富な岩谷産業(カセットコンロで有名な会社)と共同で設立する関電ガスサポート株式会社が対応します。
割高になるケースもある
大阪ガスから関電ガスに乗り換えることで、料金が大幅に高くなるケースもあります。
今のところ、関電ガスではエネファームやエコウィルといったガスを使った発電設備に対する割引プランや、ガス式の床暖房やファンヒーターに対する割引プランを用意していません。
こうしたガス機器をお使いの世帯に向けて、大阪ガスは非常に割安な料金プランを設定しています。こうしたお得なプランを契約している場合は、関電ガスに乗り換えてしまうと割高になります。
例えば大ガスの「GAS得プラン マイホーム発電料金」から関電ガスに乗り換えた場合、年間39136.8円の値上がりになります(月100立米で試算) 更に大ガスでは、ガスコンロがあれば2%引きなどの割引を提示しているので、関電ガスとの差は更に大きくなります。
エコウィル、エネファーム、ガス式床暖房、ガス暖房などをお使いで、「選択約款」で契約している場合は注意してください。選択約款でも、「GAS得プラン エコジョーズ料金」からの乗り換えなら関電ガスの方が安くなる可能性があります。
セット契約するならどこが一番お得?
電気とガスのセット契約、どこにまとめるのが一番お得なのかモデルケース(2人世帯の標準使用量)をもとに試算して結論を紹介します。
内容 | ガス料金 | 電気料金 | 月合計 | 月の差額 |
---|---|---|---|---|
大ガスのガスと 関電の電気 |
5845円 | 8525円 | 14370円 | - |
電気・ガスともに大ガス | 5845円 | 8095円 | 13940円 | -430円 |
電気・ガスともに関電 | 5217円 | 8090円 | 13307円 | -1063円 |
燃料費調整の上限の差を考慮しない上表の試算では関電の方が安い結果となりましたが、2022年7〜9月分の燃料費調整単価の差を考慮すると大阪ガスの方が安いです。
関西電力の従量電灯A(標準メニュー)には燃料費調整に上限が設けられている一方、関西電力のガスセットプランである「なっトクでんき」には上限がありません。大阪ガスの電気には関電の従量電灯と同様に上限があります。上記の試算にはこの上限の有無を考慮していないため、2022年7〜9月現在は大阪ガスの方が「安い」と言えます。
しかし今後燃料価格が下落した場合は関電の方が安くなります。2022年6月分以前の燃料費調整単価で計算すると関電の方が安いです。
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