ガス自由化でも無いガス料金の「深夜割引」
電気には「深夜割引」の料金プランがありますが、残念ながら日本の家庭向けのガス料金プランで深夜割引や夜間料金といったものは2019年現在ありません。その理由を分かりやすく解説します。
目次
深夜割引・夜間料金が無い現状
まずは「深夜割引が無い」と言える現状を簡単に解説します。
ガス自由化でも登場無し
私が大手都市ガス4社(東京、大阪、東邦、西部)と新規参入のガス会社24社を調査したところ、夜間料金や深夜割引といった時間帯によって料金単価が変わったり、あるいは時間帯によって割引を設けているガス会社はありませんでした(2019年7月現在、家庭向けプランを調査)
2017年のガス自由化から既に2年以上が経過していますが、旧来の地域独占のガス会社だけでなく新規参入のガス会社も含め、深夜割引料金プランが「無い」と言える状況があります。
電気にはあるのにガスには無い理由
電気料金プランには「深夜割引」や「夜間料金」プランがあるのに、なぜガスには無いのか。その理由を解説します。
電気は貯められない
電気は「貯めることができない」性質があります。今ご自宅で使っている電気は、今まさにこの瞬間にどこかの発電所でつくられている電気です。
蓄電池があるから貯められるという反論が返ってくるかもしれません。確かに蓄電池に電気を「貯める」ことは可能です。しかし現状で蓄電池の価格が非常に高価であるため、蓄電池に電気を貯めて送電線に流していては採算が取れません。
したがって、事実上「電気を貯めることが出来ない」と言えます。
現在の日本の電力需要の8割は火力発電に支えられており、需要にあわせて発電量を変えることが比較的かんたんにできます。一方、原子力発電所は発電量を一定に保った方が効率が良いです。
原発が全国で動いていた頃は、深夜に電気が「余りやすい」という状況がありました。深夜に電気を使ってもらうためにも、電力会社が大幅に割安な深夜割引を設定していましたが、多くの原発が止まっている今は、各社とも以前よりも深夜割引を縮小しています。
ガスは貯めることができる
事実上貯められない電気に対し、ガスは大量に貯蔵することが出来ますし、また各ガス会社ではガスの貯蔵を日常的に行っています。
都市部から少し外れると、巨大な球状のガスタンクが設置されていることがあります。あの中には大量の都市ガスが蓄えられています(都市ガスの原料である天然ガスなどの場合もある)
ガスは煮炊きの需要が増える昼時や夕方〜夜にかけて需要が伸びます。需要が少ない深夜などに都市ガスを作って、タンクに貯め、それを需要が伸びる時間帯に放出するといった運用がされています。タンクの中のガスの量は、一日の中でも大きく変動します。
また、町中に張り巡らされたガス管の中にも、一定量のガスを「貯める」ことが出来ます。ガスは電気と比べて貯蔵が遥かに簡単で、また需要の増減にあわせて貯蔵したもので対応できる特性があると言えます。
今後も深夜割引が導入される可能性は低い
電気の場合は需要に即対応する必要があるため、需要そのものを「平ら」にするために深夜割引や夜間料金が活用されています。
しかし、これまで説明してきたようにガスの場合は必ずしもその必要性が低いですし、深夜割引を投入したところで電気の深夜割引のように大幅な割引は難しいと言えます。今後もガスの深夜割引プランが登場する可能性はゼロとは言えませんが、かなり低いと思います。
お得なガス料金プランはこちら
ガス自由化では新規参入のガス会社がお得な料金プランを投入しています。地域ごとに一覧で比較できるので、料金プランを比べてみてください。