ガス自由化の目的は?
いつの間にか決まっていた感が否めないガス自由化。
いったい何を目的に実施されるのでしょうか。
経産省のサイトの情報を噛み砕いて、独自の視点を交えながら説明します。
目的1 料金の値下げ
日本のガス料金は、海外と比べて高いと言われています。この海外との価格差を小さくする、というのがガス自由化の第一の目的です(難しい言い方をすると、「内外価格差の是正」といいます)
日本 | 米国 | 英国 | フランス | ドイツ |
上の表は、日本の都市ガス料金を100とした時の、海外のガス料金水準の比較です(消費者庁 平成26年調査) 主要国では、いずれも日本よりガス料金が大幅に安いことが分かりますね。
しかし、この価格差を見て「日本のガス会社はけしからん!」と怒るのは早計です。アメリカやイギリス、ドイツでは自国内にガス田があります(北海油田、シェールガスなど)
また、ヨーロッパは国同士がガスのパイプラインで結ばれていることが多く、ガス田が無い国でも安い輸送コストで、ガスを調達することが出来ます。一方の我が国は、東南アジアやオーストラリアなどの国々から何週間も掛けて船で運んで来る必要があります。船で運ぶ際には体積を小さくするため、-162℃以下まで冷却して、液化する作業も必要です。他国と比べてガスの調達に掛かるコストが高くならざるをえないという事情は、決して無視できるものではありません。
東日本大震災の直後だったと思いますが、LNGの輸入が急増した時に「日本のLNG購入価格が高い!」とマスコミが騒ぎ立てたことがありましたよね。その時に某大手総合商社のエネルギー部門の責任者の方が、「こうした事情を無視して高い高いというのは酷い」と、大学の講義に来てくださった時に怒っていました。ちょっと話が逸れました、、
とはいえ、競争原理が働くことで値下げは期待できます。自由化を前に、大手ガス会社がこぞって値下げを打ち出していますから、既にその効果は現れています。
目的2 サービスの向上
参入企業が増えることで、競争が起こります。価格競争には限界があるので、サービス面での競争が期待されています。
例えば、大阪ガスは2016年4月からエネファームを設置している家庭から、エネファームで発電した電気を買い取るサービスを開始します。こうした今までには無かったサービスが生まれることが期待されています。
新たなサービスを生み出すためには技術革新も必要になりますから、ここで生まれた技術やサービスを海外に売り込む、といったことも狙いとしてあるようです。
目的3 ガスの安定供給
自由化されると供給が不安定になるのではないか、と思う人も少なくないでしょう。ですが考えてみてください。たった1社のガス会社に全てを任せている方が、その会社に何かあった時の影響が大きくなると思いませんか?
また、ガス自由化とあわせて導管網の整備(地域同士のガス管の接続など)も進められていくので、災害時も含めた安定供給の体制を強化する狙いがある、と経産省のHPに書いてあります。
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