ガスのスマートメーターのメリット・デメリット
2024年から本格的に普及が始まるガスのスマートメーター。そのメリット・デメリットを解説します。今より便利になります!
目次
ガスのスマートメーターとは
ガスのスマートメーターとは何か。分かりやすく解説します。
通信機能がある次世代型ガスメーター
スマートメーターとは、通信機能を持つ次世代型のガスメーターです。
ガスの使用量を計測するためにガスメーターが設置されています。従来型のメーター(アナログメーター)には通信機能が無いため、検針員と呼ばれるガス会社のスタッフが一軒一軒まわり、目視でメーターを確認してガス使用量を確定しています。
スマートメーターには通信機能があるため、使用量はガス会社が遠隔で確認することが出来ます。
東京ガスの全エリアがスマートメーター化へ
東京ガスが2024年1月から順次、管内のガスメーターをスマートメーターに交換していくことを発表しました。2030年代前半までに導入を完了するという目標を発表しています。
ほかの全国のガス会社でも、今後スマートメーターの導入が進んでいくでしょう。
電気では既にほぼ交換済み
電気のメーターはガスに先んじてスマートメーター化が進められてきました。東京電力では2014年頃からスマートメーターへの切り替えが始まり、2020年時点で管内のほとんどのメーターがスマートメーターに交換済みとなっています。
全国でも、最も遅い沖縄電力も2024年までにスマートメーター化を完了する目標を掲げており、知らず知らずのうちにスマートメーターは全国で普及しています。
ちなみにガスのスマートメーター化が電気よりも大きく遅れた要因としては、電源の問題があります。電気のメーターには電気が通電しているため、スマートメーターを稼働するのに必要な電力を得ることに苦労しませんが、ガスメーターには基本的に通電が無いため必要な電力の確保が難しいという事情がありました。東京ガスのガススマートメーターでは10年間使える電池を取り付けることでこの問題を克服しています。
スマートメーターのメリット
ガスのスマートメーターにはどのようなメリットがあるのか、利点を解説します。
コスト削減に
従来型のアナログメーターでは、使用量を確認するために一軒一軒のメーターを目視で確認する必要がありました。一軒一軒、場合によっては一つの建物・敷地でもガスの契約が複数ある場合もあり、メーターの数は膨大です。その膨大な数のメーターを確認するには多額の人件費が掛かります。
スマートメーターでは検針員による検針の必要が無くなるため、検針に掛かる人件費を削減することが出来ます。スマートメーター化で直ちにガス料金が安くなるわけではありませんが、長期的に見てガス料金を下げる効果が期待できます。
遠隔での開閉栓が可能に 引越しがスムーズに
ガススマートメーターには遠隔操作によってガスの開栓・閉栓が可能なものがあります(東京ガスのスマートメーターなど)
開栓に関してはスマートメーター化した後も、ガス機器が正常に動作するか確認する作業が残るためこれまでと変化はほぼ無い(引き続き立会が必要)可能性がありますが、閉栓作業についてはこれまで必要だった立会が必要無くなる可能性があります。
ガス漏れ検知・対応がスムーズに
従来型のガスメーターにも異常な圧力低下などを検知してガスを自動遮断する機能や、自信による揺れを検知してガスを遮断する機能が備わっていますが、スマートメーターにも同等以上の検知機能が備わっています。
これまでは異常を検知し、その使用場所へのガス供給を停止するに留まっていましたが、今後はネットワークを通じてガス会社に異常を通知することが可能となるため、状況によっては緊急車両を派遣し対応に当たるなどの対応がより容易になり、安全性が向上します。
検針員さんが来なくなる
ガスの検針員さんが来なくなることもメリットと言えるでしょう。
メーターが敷地内いある場合など、検針のために応対が必要となるケースもありますが、スマートメーターでは遠隔での検針が可能となるため検針員の立ち入りも原則無くなります。オートロックの解錠などの手間も減少するでしょう。
請求ミスが減る
従来型のメーターは人間が目視で一つ一つ確認し、機器に情報を入力するためミスが発生する場合があります(メーターの数字は累計していくため、次回以降検針時にミスが発覚することが多い)
スマートメーターはシステムで自動で数字を把握出来るため、そのようなミスが減少することが期待できます。
スマートメーターのデメリット
スマートメーターのデメリットを指摘します。
紙の検針票が有料になる
これまで多くのガス会社では、ガスの使用量や料金が記された検針票や請求書を無料で発行していました。検針の際に、検針員がその場で紙を発行し、ポストに投函することが多いため、無料で対応しているところが多くありました。
ですがスマートメーター化された後は郵送での対応が必要となります。スマートメーター化にあわせて、電気でも紙による検針票や請求書の発行が順次有料化されていきました。また、ガスについても東京ガスはスマートメーターとあわせて紙による検針票や請求書の「有料化」を発表しています(2024年11月から有料化)
多くの場合、ウェブのマイページに登録することでウェブから請求書の確認・ダウンロードが「無料で」可能です。紙で必要な場合は、ウェブから自分で印刷する必要が生じます(もしくは手数料を支払うか)
スマートメーターによくある懸念
スマートメーターにまつわる「よくある懸念」を解説します。
電磁波や電波の影響は?
通信機能を持つメーターということで、電波や電磁波を懸念する声が一部に存在します。
スマートメーターは携帯電話回線でデータを飛ばす方式と、メーター同士で通信をしてリレーのようにデータを送受信する方式の主に2種類があります。東京ガスの場合、メーター同士で通信を行い、「数十個に一つ」程度設けられた携帯電話回線付きのメーターからセンターにデータを飛ばす方式が主に採用されます。
メーター同士の通信に用いられる電波は極めて微弱なもので、だからこそスマートメーターは電池交換無しで10年稼働することが出来ます。また、携帯電話回線による通信を行うメーターも皆さんが普段使用している携帯電話回線(LTE)を使用するため、携帯電話で問題が無いのであればスマートメーターも問題無いと言えます。
スマートメーターは基本的に屋外に設置されるため、ポケットに入れたり枕元に置くスマートフォンと比べて人体に及ぼす影響は極めて小さいです。家の外に置いたスマホによって健康被害が発生するというのであれば、電子レンジを使うことも危険ですし電車に乗ることも、電気こたつを使うことも重大な健康被害をもたらすことになります。このサイトを閲覧するために使用しているスマホやPCの方がリスクは大きいです。
交換費用は?
交換費用はかかりません。詐欺にはお気をつけください。
ガスメーターは計量法という法律により、一般家庭用では10年ごとに取り替えが必要です。スマートメーターへの交換はこのタイミングで実施されるケースが多くなるはずです。メーターはガス会社の都合で取り付けられているもので、スマートメーター化もガス会社の都合により実施されるものなので、利用者が費用を負担する必要はありません。
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