ガス会社を乗り換えると割高になることも
ガス自由化でガス会社の乗り換えが出来るようになりました。
自由化というと料金がお得になるイメージがありますが、しかし全ての世帯が乗り換えでガス料金がお得になるわけではありません。乗り換えると逆に今よりも料金が高くなってしまうケースも少なくないのです。
というわけで、乗り換えでガス料金が高くなる可能性が大きいケースを紹介します。もし当てはまった場合は、特に慎重に料金シミュレーションを行うようにしてください。
目次
ガス使用量が極端に少ない世帯
まず注意すべきなのは、ガスの使用量が極端に少ないご家庭です。
関電ガスや中部電力などは、基本料金からお得な料金プランであるため、使用量が少なくても「お得」です。一人暮らしの人でも安心して申し込めます。
しかし中にはニチガスのように、使用量が少ない世帯の料金を高く設定している新ガス会社もあります。ニチガスのケースでは「月5m3以下」という条件で割高になるので、一般的な一人暮らしの世帯(月平均17m3)でも多くの場合お得ですが、使用量が極端に少ないと高くなることもあるので注意が必要です。
ガス設備に応じた割引プランを利用している場合
ガス各社は、住宅のガス設備に応じたお得な料金プランを設定しています。そうした「選択約款」と呼ばれるプランは、とても安い料金水準であるため、新ガス会社に乗り換えても逆に割高になるケースがほとんどです。
まずは、検針票の契約種別の欄に「一般契約」と書かれているかチェックしましょう。一般契約でなく、選択約款と記載されていたり、具体的なプランの名前が記載されている場合は割安なプランが適用されているので、要注意です。
ガスコンロやガス給湯器(湯沸かし器)程度なら「一般契約」になっている可能性が高いです。が、ご家庭に以下のガス設備を設置している場合は要注意です。
エネファーム・エコウィル
特に最近の戸建て住宅で人気の設備です。都市ガスを使って電気とお湯をつくる設備です。
大量のガスを使うので、ガス会社が血道を上げて普及に取り組んでいます。そのため、とってもお得な料金プラン(「ガス発電プラン」などの名称)がほぼ自動的に適用されているはずです。
こうしたガス発電用のプランは今のところ、新ガス会社からは出ていません。もし乗り換えてしまうと、年間で39136.8円もガス料金が上がってしまう可能性があります(大ガス GAS得プラン マイホーム発電 →関電ガスで月100m3で試算)
床暖房(ガス式)
電気を使ったタイプではなく、ガスを使った床暖房を設置している場合、床暖房用のプランが適用されているはずです。床暖房用のプランもお得な料金水準であるため、乗り換えると割高になる可能性が大きいです。
ちなみにわが家もガス式の床暖房を設置しているため、ガス自由化のサイトを運営しているクセに自宅のガス会社を乗り換える必要が無いという結論に達しました。
ガス暖房
ガスファンヒーターなど、ガスを使った暖房器具を使用しているご家庭もあると思います。こうしたガス暖房の設備についても、お得な料金プランが適用されている可能性があるので注意が必要です。
エコジョーズ
高効率のガス給湯器です。
普及率は12.3%(平成25年度 経産省資料より)ですが、新しい建物だとこのタイプの給湯器が設置されていることが多いです。
エコジョーズのみの設置で利用できるプランは、お得率が低めです。単なるエコジョーズ用のプランを利用している場合は、乗り換えでガス料金が安くなる可能性も「無いわけではない」ので、一度詳しく調べてみてください。
契約事務手数料などの諸手数料の存在
新規参入の一部のガス会社の中には、契約事務手数料などの手数料を徴収しているところがあります。
例えば東京ガスや東邦ガスのエリアに参入しているEneガスの契約事務手数料は3780円です。一方、ガス代の節約額は4人世帯の平均使用量(40m3)でも年間622円なので、元を取るには6年以上掛かります。
また、解約金や解約事務手数料が掛かる会社もあります。解約まで見て、トータルで損をするケースも無いとは言い切れないので契約前によく確認してください。
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